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技能実習「医療福祉施設給食」とは?仕事内容・受け入れの流れ・注意点をわかりやすく解説

技能実習制度と医療福祉施設給食職種の概要

近年、医療福祉施設では「給食業務」に従事する外国人技能実習生の受け入れが進んでいます。この背景には日本の深刻な人手不足だけでなく、高齢化による給食需要の増加があります。技能実習制度は本来、発展途上国の人材育成という国際協力の観点から、日本の技術や知識を移転させることを目的とした制度です。国内の人手不足対策としても有用であることから、医療・福祉分野での活用が加速しており、注目を集めています。

この記事では「医療福祉施設給食」という職種における技能実習制度について、制度の仕組み・仕事内容・受け入れの流れから注意点まで幅広く詳しく解説します。

技能実習制度とは?目的と背景

技能実習制度は、開発途上国の若者が日本で一定期間働きながら専門的な技能・技術・知識を身につけ、帰国後にそれを活かすことを目的とした制度です。
制度の背景には、日本の深刻な労働力不足があります。特に医療・福祉分野では、少子高齢化に伴って人材不足が著しく、施設運営に支障をきたすケースも増えています。そこで、外国人技能実習生を受け入れることで、人材確保と人材育成の両立を目指す動きが広がっています。

 

「医療福祉施設給食」とは?対象施設と役割

「医療福祉施設給食」は、2021年に新たに追加された技能実習職種です。対象となる施設には以下のようなものがあります。

 

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 有料老人ホーム
  • 障害者支援施設
  • 病院 など

 

これらの施設では、利用者の健康状態に合わせて1日3食を提供しています。栄養バランスや食べやすさはもちろんのこと、誤嚥防止などへの配慮も必要であり、調理スタッフの役割は非常に重要です。技能実習生はこの現場で、主に調理補助や盛り付け・配膳・下膳・洗浄・器具管理などの業務を担当します。

 

技能実習「医療福祉施設給食」で従事する業務内容

 

具体的な作業:調理・盛付け・配膳・食器洗浄など

医療福祉施設給食における実習生の業務は多岐にわたりますが、主に以下のような業務があります。

 

1. 調理補助

調理補助では包丁や火を使う作業は行わず、下処理済みの食材の盛り付け・配膳トレーの準備など、簡単で安全な作業が中心です。衛生管理や事故防止の観点から、調理師や栄養士と役割を分けて実習生は補助的な工程を担当します。

2. 盛付け

利用者一人ひとりの食事内容(量・アレルギー・食事形態)に合わせて、調整済みの食材を丁寧に盛り付けていきます。形状調整された刻み食やペースト食の盛り付けに関わることもありますが、調整そのものは調理師が担当するのが一般的です。

3. 配膳・下膳

食事を各ユニットや病棟に運搬し、指定された時間に提供する工程です。終了後は速やかに下膳し、使用済みの器具・食器の洗浄準備も行います。ここでは、施設内の衛生ルールに従った動線管理が重要です。

4. 器具・設備の洗浄・消毒

食器類や調理器具の洗浄、消毒、保管を担当します。使用済みの調理器具は正しい手順で洗浄し、次の調理工程に支障が出ないように準備する必要があります。

 

5. 衛生管理と記録

手洗いや身だしなみの徹底、温度管理表の記録、異物混入防止のための点検など、食品衛生法に基づいた管理も重要な業務となっています。

 

衛生管理やチーム連携の重要性

医療福祉施設では、衛生管理は生命を守る重要な業務の一つです。調理工程においては、以下のようなポイントに特に注意が必要です。

 

  • 調理前・後の手洗いと手袋の使い分け
  • 食材の温度管理(冷蔵・加熱)
  • 調理器具の洗浄と消毒の手順
  • アレルゲンの交差汚染防止
  • 異物混入チェック(髪の毛・包装資材など)

 

実習生も、手洗いや器具の洗浄など基本的な衛生管理には日々関わります。一方で、温度管理やアレルギー対応など専門的な判断が必要な工程は、基本的に調理師や栄養士が担当します。重要なのは、チームの一員として衛生意識を持ち、正しい手順に沿って作業することです。また厨房業務は複数人で分担するため、チームワークと報告・連絡・相談が欠かせません。実習生が適切に情報を共有できるよう、職員との関係構築や日常会話の習熟も求められます。

 

 

実習生に求められるスキルと適性

技能実習生として働くには、以下のようなスキルと人間的な特性が求められます。

 

求められるスキル

1.基本的な日本語能力(N4程度)

業務指示やコミュニケーションを円滑に行うため、日常会話レベルの日本語理解が必要です。

2.手順を守る力・マニュアル理解力

決められたルールや手順を正しく実践することで、安定した作業と安全管理が実現します。

3.食材や調理器具の扱い方の理解

衛生や品質を保つために、各種食材や器具の正しい取り扱いを習得する必要があります。

4.衛生管理に関する基礎知識

食中毒防止や安全な調理環境の維持に、基本的な衛生管理の知識と意識が不可欠です。

 

 

求められる適性

医療福祉施設での給食づくりは、まわりの人と協力しながら進める仕事です。無理なく続けていくためには、人柄や考え方の面でもいくつかのポイントが大切になります。

 

  • 協調性があり、集団での作業ができる
  • 感情のコントロールができ、まじめに仕事に取り組める
  • 長期間の実習に前向きに取り組む意欲がある
  • 生活習慣を安定させ、勤怠を守ることができる

 

 

必要な日本語レベルとコミュニケーション能力

調理指示や注意事項は基本的に日本語で行われます。N4レベル(初級)で十分な場面もありますが、配属先によっては「N3程度」(日常会話レベル)が求められることもあります。また日本語会話だけでなく、表情・声のトーン・身振り手振りや視線などの「非言語コミュニケーション」の面も大切にし、意思疎通を図ろうとする姿勢もポイントです。
そして、技能実習生は調理職員だけでなく、介護職員や看護師とも接する場面があります。たとえば「食事の提供時間変更」や「体調不良者の対応」など、連携を要する場面では意思疎通ができるかどうかが重要になります。

 

食品衛生・安全意識と心構え

高齢者や病気を抱える方の食事は、ちょっとしたミスでも健康に影響を及ぼすことがあります。そのため、実習生には「自分の作業が人の体に関わっている」という意識と、丁寧に取り組む気持ちが求められます。

 

  • 調理室に入る前の衛生チェック
  • 食材の取り扱い(消費期限、交差汚染防止)
  • 利用者のアレルギーや禁忌情報の確認
  • 火や熱湯などの危険への注意
  • 食器・設備の破損や異常の報告義務など

 

施設によって注意事項・ルールはさまざまですが、衛生管理マニュアルの理解と徹底が安全な給食提供の基本となることを心得ておきましょう。

 

技能実習生の受け入れ準備と流れ

技能実習生の受け入れは、「人材要件の確認」「監理団体との契約」「人材の選考」「入国〜配属」という複数のステップを経て進行します。それぞれの段階で必要な準備や手続きが異なるため、計画的に進めることが重要です。以下では、各ステップごとに具体的な流れとポイントを解説します。

 

受け入れまでの流れ(計画〜契約〜配属)

 

1.人材要件の確認

受け入れ予定の職種に対し、どのようなスキルや資格が必要かを確認し、実習内容との適合性を検討します。

 

2.監理団体との契約

技能実習の制度運用を支援する監理団体と契約を結び、法的手続きや実習計画作成のサポートを受けます。

 

3.人材の選考

監理団体は、実習生の母国にある送り出し機関と連絡を取り、候補者を選定し、実習実施者(技能実習生受け入れ先)と候補者の面接を設定します。必要に応じて現地訪問も行われます。

 

4.入国・配属

選ばれた実習生は一定の研修を経て来日し、入国後も約1か月間、監理団体の研修施設で入国後講習を受講したのち受け入れ先施設での実習を開始します。生活面のサポート体制も重要です。

 

 

監理団体の役割について

技能実習制度において、監理団体は受け入れ企業と実習生の間に立ち、制度の適正な運用を支援・監督する役割を担っています。具体的には、受け入れ前の申請手続きのサポート・実習計画の作成指導のほか定期的な巡回指導や相談対応などを通じて、実習生が安心して働ける環境づくりを後押しします。企業にとっても、法的な手続きや外国人対応に不慣れな点を補ってくれる重要なパートナーとなります。

受け入れ企業の準備事項

技能実習制度を適正に運用するためには、監理団体の支援と連携が重要です。また、以下のような準備が必要です。

 

1.雇用契約書の整備

実習生と交わす雇用契約書には、勤務時間・賃金・休日などの条件を明記し、日本語と母国語両方での用意が必要です。

 

2.職場環境・住環境の整備

安全に働ける厨房環境の整備や、衛生的な宿舎の確保が不可欠です。通勤方法もあらかじめ検討しましょう。

 

3.受け入れ体制の確認

実習指導員や生活指導員など、社内での担当体制を整え、受け入れ後のサポートがスムーズに行える体制を準備します。

 

4.日本語・業務研修の計画

来日前後の研修計画を立て、日本語の初期指導や厨房業務に関する基本的な知識を身につけられるよう支援します。

 

5.行政・監理団体との連絡調整

必要書類の提出や定期報告、実地検査への対応など、関係機関との円滑なやりとりも企業の責務のひとつです。実習生が孤立せず、安心して働ける体制づくりが重要です。

 

受け入れ時の注意点と成功のためのポイント

技能実習生の受け入れを円滑に行い、実習が実りあるものとなるようにするためには、制度上の遵守事項だけでなく、現場での細やかな配慮も欠かせません。以下に、受け入れ時に特に意識しておきたい注意点と成功のポイントを挙げます。

 

文化・宗教的配慮と労働条件の適正管理

実習生の母国の文化や宗教的な習慣に対する配慮は、信頼関係の構築に大きく寄与します。食事内容、礼拝時間、生活リズムなどに柔軟な対応を心がけましょう。配慮すべきポイントは以下の通りです。

 

  • ハラール・ベジタリアン食の準備
  • 宗教的な行事や祈りの時間への理解
  • 言葉遣いやマナーに対する違いなど

 

また、以下のような労務管理上のポイントも重要です。

 

  • 残業時間の管理と適正な給与支払い
  • ハラスメントの防止
  • 休日・有給休暇の適正な付与
  • 安全衛生面の教育

 

実習生との信頼関係構築と教育体制の整備

受け入れ施設が実習生を長く戦力として育てるには、信頼関係の構築が不可欠です。単なる労働力ではなく、共に成長していくパートナーとして接する姿勢が求められます。

1.明確な業務指示と丁寧な指導体制

言葉の壁や業務理解の違いを乗り越えるには、業務内容を具体的かつ視覚的に伝える工夫が必要です。初期オリエンテーションの充実だけでなく、マニュアルの活用やOJTを通じた段階的な指導が効果的です。

 

2.コミュニケーション機会の確保

実習生が孤立しないよう、定期的な面談や相談窓口の設置など、話しやすい環境づくりを行うことが成功の鍵となります。

 

3.トラブル発生時の迅速な対応体制

問題が発生した際に備え、社内での対応フローを事前に整備しておくことが重要です。また、監理団体との連携も迅速な解決に役立ちます。

 

4.地域社会との関係づくり

実習生が地域で安心して生活できるよう、近隣住民への説明や、地域行事への参加機会の提供などを通じて受け入れ環境を整えていきましょう。

 

まとめ

医療福祉施設の人手不足が続く中で、技能実習制度を活用した外国人材の受け入れは、現場の助けになる有効な手段です。そして実習生にとっても、日本で経験を積みながらスキルを身につけ収入を得られるチャンスとなります。制度を正しく理解し、実習生が安心して働ける体制を整えることが、双方にとっての成功につながります。無理なく、気持ちよく協力し合える環境をつくることが、これからの介護・医療の現場を支える大きな力になるでしょう。

 

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