2025/10/23
特定技能「宿泊」とは?外国人採用の背景や業務内容、技能実習との違いをわかりやすく解説
宿泊業界は、慢性的な人手不足やインバウンド需要の拡大により、外国人材の採用が急務となっています。その解決策の一つが「特定技能 ‒ 宿泊」です。特定技能「宿泊」は、日本で働きたい外国人が一定の技能や日本語力を証明することで、宿泊施設で即戦力として働ける在留資格です。本記事では、特定技能(宿泊)の概要・採用メリット・技能実習との違い・具体的な採用手順 をわかりやすく整理します。宿泊施設の人事担当者や、外国人採用を検討している方に必見の内容です。
1.特定技能「宿泊」とは?制度の概要
1-1 特定技能制度の基本情報
特定技能制度は、日本の人手不足分野において外国人が即戦力として働くことを認める在留資格であり、2019年に創設されました。対象は14分野で、宿泊分野もその一つに含まれます。宿泊業務では、フロントや接客サービス、レストラン業務、企画・広報といった宿泊サービス提供に関わる幅広い職種が対象となります。
在留資格には「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。当初は宿泊分野では1号のみが対象でしたが、2023年の制度拡充により2号も取得可能となりました。特定技能1号は最長5年までの在留が認められ、更新を重ねる形で在留が可能です。一方、2号は在留期間の上限がなく、一定の条件を満たすことで長期就労や家族帯同も認められます。
1-2 宿泊分野で求められる外国人材の役割
特定技能(宿泊)の外国人スタッフは、以下の業務で活躍します。
- フロント業務(チェックイン・チェックアウト、予約受付)
- 宿泊客の接客・観光案内(多言語対応が可能)
- レストランや宴会場での配膳・サービス
- 客室清掃・館内整備(ベッドメイキングを含む清掃作業など)
- 予約管理などの事務作業
これらは日本人スタッフと同等の業務範囲であり、即戦力として期待されています。
2.宿泊業界の現状と特定技能が創設された背景
2-1 深刻化する宿泊業の人手不足
国内の労働人口減少や、宿泊業の労働環境への敬遠傾向により、人材不足は年々拡大しています。特に地方旅館や観光地ホテルでは採用難が顕著です。
2-2 インバウンド需要の急増と多言語対応の必要性
訪日外国人観光客の増加に伴い、英語や中国語など多言語での接客力が求められています。日本人だけでは補えない部分を、外国人材が強力に支援します。。2024年の訪日外国人宿泊者数は1億6447万人に達し、過去最高となりました。この急増する需要に対応するため、外国人スタッフの活用が不可欠となっています。
2-3 地方宿泊施設での採用課題
都市部より待遇面で不利な地方施設では、国内人材確保が難しいため、外国人採用が施設運営のカギを握っています。令和6年度の調査では、宿泊事業者のうち、特に地方部の施設で人手不足を感じている割合が高いことが示されています 。この状況を改善するため、外国人材の積極的な受け入れが求められています。
3.特定技能制度誕生の背景と目的
3-1 技能実習制度との違いと「即戦力」確保
技能実習制度は、日本の技術を開発途上国へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に協力することを本来の目的とした国際貢献のための制度です。一方、特定技能(宿泊)は 人材不足を解消するために即戦力を受け入れる制度 です。そのため、就労前に「日本語能力試験」と「宿泊業技能測定試験」の合格が必須となります。
3-2 宿泊サービス品質の維持と観光産業の発展
特定技能外国人は、多言語対応や異文化理解を活かして宿泊施設の国際競争力を高めます。人材不足解消だけでなく、観光業全体の発展にも寄与する仕組みです。
4.特定技能「宿泊」で可能な業務とポイント
特定技能「宿泊」で働く外国人材は、宿泊施設のさまざまな業務に従事できます。フロント対応や接客だけでなく、レストランサービスや客室清掃、事務作業など幅広い業務を担当することが可能です。適切な業務範囲の理解と支援体制の整備が、外国人材の活躍と定着のカギとなります。
4-1 対応可能な具体的な業務内容
| 業務区分 | 具体的内容 |
|---|---|
| フロント業務 | チェックイン/チェックアウト、予約対応、クレーム処理 |
| 接客サービス | 宿泊客の案内、観光情報提供、多言語対応 |
| レストラン・宴会 | 配膳、飲食サービス、会場準備・片付け |
| 客室清掃・整備 | ベッドメイキング、アメニティ補充、館内整備 |
| 事務作業 | 予約入力、請求処理、シフト調整 |
4-2 労働環境と受け入れ条件
特定技能外国人を受け入れる際には、法令に沿った労働条件を整えることに加え、生活面や学習面の支援体制を準備することが求められます。十分なサポートを整えることで、安心して働ける環境を提供し、定着率の向上につなげることができます。
- 労働時間・待遇が法令に準拠していること
- 外国人材への生活支援体制があること
- 日本語教育や相談体制が整備されていること
なお、特定技能外国人の派遣は原則できないため、直接雇用が基本です。
5.特定技能1号・2号の取得要件と試験概要
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れる際には、どの資格を取得する必要があるのか、また試験の内容や条件を事前に理解しておくことが重要です。特に宿泊分野では、即戦力として活躍できる人材を確保するため、技能と日本語能力の両方が求められます。
5-1 特定技能1号取得要件
- 宿泊業技能測定試験の合格
- 日本語能力試験(JLPT N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト合格
5-2 技能実習から特定技能への移行
技能実習2号を修了した人材は、試験免除で特定技能1号に移行することが出来ます。既に日本で働いた経験があるため、即戦力として特に期待できます。
6.特定技能「宿泊」の採用手順と支援体制
宿泊業界で特定技能外国人を採用する際には、単に求人を出すだけではなく、業務内容や求めるスキルを整理し、適切な支援体制を整えることが重要です。十分な準備とサポートがあることで、外国人材の定着率や職場での活躍度が大きく変わります。
6-1 採用ステップ
- 必要人材の要件整理(日本語力・業務範囲)
- 候補者の選定と試験合格確認
- 面接・選考
- 在留資格認定証明書の申請
- 入社・導入研修
6-2 外国人材への支援体制の重要性
- 住居確保や生活環境整備
- 日本語研修・異文化理解サポート
- 生活相談窓口・メンター制度
- 定期的な労働環境チェック
適切なサポート体制は、外国人材の定着率を大きく左右します。
7.特定技能と技能実習の違いを簡単比較
宿泊業で外国人材を受け入れる際、特定技能と技能実習では目的や業務範囲などに違いがあります。それぞれの制度の特徴を理解することで、どの制度を活用すべきか判断しやすくなります。
| 項目 | 特定技能(宿泊) | 技能実習 |
|---|---|---|
| 目的 | 人材不足解消(即戦力採用) | 国際貢献・技能移転 |
| 在留資格 | 特定技能1号(最長5年) | 実習1号〜3号(最長5年) |
| 採用可能人数 | 制限なし | 常勤職員数に応じた人数 |
一方、技能実習1号・2号(計3年間)を修了した技能実習生は、特定技能1号へ進むことができます。特に、慢性的な人手不足を解消し長期の就労を望む企業では、技能実習から特定技能へ進むキャリアパスが有効と考えられています。
8.成功事例と特定技能外国人のメリット
特定技能制度を活用した宿泊施設では、単に人手不足を補うだけでなく、サービスの質や従業員の働きやすさの改善といった効果も見られています。
8-1 実際の成功事例
地方旅館が特定技能外国人を採用したところ、フロントの多言語対応が向上・口コミ評価が改善し、リピーター増加につながった事例があります。また、清掃スタッフを補充したことで、日本人従業員の残業削減にも成功しました。
8-2 外国人材を採用するメリット
- 即戦力として宿泊施設の業務を支援
- 多言語・異文化対応力の向上
- 慢性的な人材不足を解消
- サービス品質と顧客満足度の向上
こうしたメリットは一時的な効果にとどまらず、宿泊施設全体の運営改善や競争力強化にも直結します。外国人材の採用を積極的に進めることは、今後の観光業界にとって重要な選択肢のひとつといえるでしょう。
9.特定技能「宿泊」の採用はアイブリッジ協同組合にお任せください
9-1.アイブリッジのサービスが選ばれる理由
- 登録支援機関・監理団体として、豊富な支援実績
- 実績豊富な送り出し機関と連携した人材募集、面接
- 入国前から日本滞在中までワンストップ支援
- トラブル対応や制度変更にも柔軟に対応
9-2.サービスの内容と安心のサポート体制
- 採用前の要件確認から面接同行、通訳支援
- 事前ガイダンス・生活オリエンテーション・就業支援の実施
- 定期フォロー・定着支援・相談窓口完備
- 各種資格取得支援にも対応
まとめ
特定技能「宿泊」は、宿泊業界の慢性的な人材不足を解消し、サービス品質を向上させる有効な仕組みです。技能実習制度とは異なり、外国人材を即戦力として受け入れられる点が大きな魅力です。外国人材の受け入れを検討している宿泊施設・法人の皆さまは、ぜひ当組合までお気軽にご相談ください。
